[悠然] 野生のシラー ◎「旨いクセ」のあるワイン。 税別とはいえ1,500円しない、という価格にて、驚きの快挙を達成したワインが『ザ・ウルフトラップ』。 ご存知パーカー・バイヤーズ・ガイド、南ア唯一の【★★★★★】生産者、『ブーケンハーツクルーフ』手掛けるリーズナブル版です。 白はヴィオニエを主体とするシュナン・ブランとのブレンドですが、赤はシラーが8割のローヌ系ブレンド。 その最新’22年が、2023年度IWSCにて、【95点/Gold Medal】に輝きました! ◎International Wine & Spirits Competition 毎年イギリスで開催されるインターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション(IWSC)は、50年以上続く国際ワイン品評会。 世界各国から、毎年「最低でも」12,000本以上が集まる…という、「歴史」と「規模」を兼ね備えた品評会としては、世界最大のワインコンペの一つとして知られています。 2023年度大会では、南アからは500本以上のワインが出典されましたが、最高評価は【96点】で三本のみ。 その次点に付けたのがこの1,500円もしない、ウルフトラップのレッドというわけ。 ▼ザ・ウルフトラップ(The Wolftrap) ブーケンハーツクルーフのあるフランシュック。ここにヨーロッパの植民者達がやってきたのが18世紀のこと。 彼らはオオカミがいるかもしれない中、罠を仕掛けて身を守りつつ、危険を顧みず荒野を切り開き、谷に住み始めました。 実際にはオオカミは居なかったのですが、オオカミの罠は彼らの開拓精神を象徴するものとなり、これに敬意を表し、ウルフトラップの名が付けられました。 ラベルだけでなく、ボトル・ネックにもウルフのエンボス加工が施されています。 赤はシラー主体の、白はヴィオニエ主体のブレンド・ワイン。本国ではロゼも出ています。 ’22年のレッドは、シラー80%、ムールヴェドル19%、ヴィオニエ1%のブレンドです。 ◎IWSC(2023)より 【IWSC95点】 「The nose is focused, showing dark berries and floral notes. The gentle palate oozes complexity and concentration with a medley of red, blue and black fruits mingling with liquorice and savoury notes. Great structure with crunchy tannins and a very refreshing finish. 」 ◎試飲しました。【2023.12】 芳しくないクセは欠点になりますが、良いクセは個性になります。 ウルフトラップが持つのは後者で、生のシラーを感じさせるなんとも言えない「旨いクセ」を感じます。 それは大地から沸き上がる土の香りや多様なミネラルといった自然そのもの。 もちろん野生(野性=Wild ではなく、野生=Natureのイメージ)の個性とは、決して万人受けするものではなく、好き嫌いの出る類のものだとは思います。 ただ、ざくろを思わせる濃醇ベリー、綺麗な甘み、程よい酸味、優しいタンニン、このあたりは誰が見ても秀逸なファクター。 余韻が特に素晴らしく、この価格帯のフィニッシュには、甘みが残るもの、苦味で終わるもの、やたら後味が短いものなどもありますが、そういった欠点が無い、実に綺麗なフィニッシュ。 そこに交じるナチュラルな個性にハマれば最高!IWSCでの快挙も納得の一本です。 ●ウルフトラップは紅白揃って優秀ですね。 ■IWSC95ポイント ■IWSC【Gold Medal】 ■スクリューキャップです。コルクはついておりません。